【2022年9月更新】スプリットのシンボル、鐘楼の階段がリニューアルされ、上りやすくなりました!
前回のスプリット観光必見スポットパート1では、世界遺産ディオクレティアヌス宮殿の概要、リヴァ、地下宮殿、ペリスティルをご紹介しました。
このスプリット観光パート2では、ひきつづき宮殿内に位置する大聖堂、鐘楼、洗礼室、ヴェスティブル、回廊、東の門、青空市場とスプリット観光のコツを
次回スプリット観光パート3では、金の門、グルグールニンスキの像、国民広場、西の門、果物広場、魚市場、マルモントバ通り、共和国広場、マリヤンの丘などをご案内します。
ディオクレティアヌス帝霊廟を作り替えた聖ドムニウス大聖堂
スプリット旧市街ディオクレティアヌス宮殿内、ペリスティルのすぐ東側に隣接しているのが、聖ドムニウス大聖堂です。ここは、もともとはディオクレティアヌス本人の霊廟として建てられました。
ディオクレティアヌス帝は、キリスト教の迫害を行ったことでも有名です。そのためキリスト教徒の評判はすこぶる悪く、7世紀に霊廟内部は破壊され、大聖堂に改修されました。スプリットの守護聖人聖ドムニウスの祭壇があり、聖ドムニウス大聖堂と呼ばれています。
「ドムニウス」というのはラテン語読み。クロアチア語では「Dujeドゥエ」と呼ばれています。
ディオクレティアヌスの霊廟だったことを示す内装は徹底的に破壊されたはずだったのですが、実は一つだけ、ローマ時代から残されたものがあります!
主祭壇にむかって上方を見上げると、月桂樹の花輪で囲まれたディオクレティアヌス帝と皇妃プリスカの浮彫があるのです。花輪は葬儀特有のもので、この建物が霊廟だったことを表しています。
ここに祀られている聖ドムニウスは、実はディオクレティアヌス帝の迫害のせいで殉教した司教と、皮肉なものです。
大聖堂の必見みどころは、入り口のクルミ材の扉です。受胎告知からキリストの昇天までを描いた28枚の彫刻が描かれています。13世紀初頭のロマネスク芸術の傑作です。
クルミが主材料ですが、このほかカシやカラマツも使われています。
ほかにも13世紀の説教壇や聖ドム二ウスと聖アナスタシアの祭壇など、見どころが満載です。詳しくは別記事でご紹介します。
絶景が望める!スプリットのシンボル、鐘楼
スプリットのシンボルの鐘楼は、13世紀に建設が始められました。時代を経て建築様式はさまざまにかわり、現在は、新ロマネスク様式になっています。
高さ58メートルの鐘楼は、有料でのぼることができます。スプリット旧市街やアドリア海にうかぶ島々の景色が一望できておすすめです。
ただし、階段はかなり急で、まわりはスカスカでちょっと怖いので、高所恐怖症の人はさけたほうがいいかもしれません。
スプリットの鐘楼の階段が改装され、上りやすくなりました!(2022年更新)
ユピテル神殿(ジュピター神殿)あらため洗礼室
当時のローマ帝国の宗教は、ギリシャ神話の影響を受けた多神教です。
宮殿西側には、当時のローマ帝国の最高神ユピテル(英語読みはジュピター)の神殿を建てました。ユピテルはギリシャ神話では神々の王ゼウスにあたります。ディオクレティアヌス帝は自分をユピテルの子と神格化することで絶対君主制を樹立、国の安定を図ろうとしたのです。
6世紀頃にはキリスト教の洗礼室に作り替えられました。天井の美しい装飾のデザインは、ローマ時代のものです。
現在、中には、イヴァン・メシュトロビッチ作の洗礼者聖ヨハネの銅像、11世紀のスプリット大司教の石棺、そしてクロアチア王国時代の国王の彫刻が入った洗礼盤が置かれています。
ユピテル神殿の前には、12体の中の1体のスフィンクスが置かれていますが、残念ながら破壊されて頭部がありません。
他にもヴィーナスと地母神キュベレにささげられた二つの神殿がありました。
中世の時代、そのうえに貴族の建物が建てられました。現在はカフェになっているほか、2020年に大聖堂の宝物殿はこちらに移設され、有料公開されています。
要人専用皇帝謁見控えの間ヴェスティブル
スプリット観光見どころパート1でご紹介したペリスティルから、下に向かう階段を降りると地下通路をとおってリヴァに出ます。階段を上がるとヴェスティブルがあります。
スプリット旧市街へは何度も行きましたが、この仕組みがわからず、ヴェスティブルは行けるときと行けないときがありました(苦笑)。
ヴェスティブルは皇帝に謁見を許された要人たちの控えの間として使用されていました。当時はこの穴の部分が、アーチ型のガラスと金のモザイクになっていましたが、現在は風化してしまっています。
ヴェスティブルの四隅のくぼみには正帝二人と副帝二人の像がありました。現在皇帝の像はヴェネチアの博物館にあるそうです。
4月中旬から10月中旬の観光シーズンには、このヴェスティブルでクラッパのパフォーマンスが行われ、CDを買うことができます。クラッパはユネスコ無形文化遺産に登録されている男性アカペラ合唱。テーマは海や恋愛、友情、家族などで、グループ内の長いつきあいの友情が良い曲を作るといわれています。
ガイドブックでもあまり紹介されていない!ディオクレティアヌス皇帝住居跡と回廊
ヴェスティブルから先は、皇帝の住居があったのですが、回廊の窓など一部の外壁だけが残っています。南西部分は住居で、68部屋ありました。今は壊されて、建物が建っています。
散歩回廊には42の窓があります。この回廊をディオクレティアヌス帝が散歩していたと言われています。
スプリット、仕事でもプライベートでも何度も行きましたが、ここは行ったことがない!
クロアチア人ローカルガイドさんが案内するいろいろなルートに同行したなかでわかった、日本人むけ一番おすすめのルートです!
南東部分の下の写真は皇帝の食堂だったところです。現在は形だけ再現され何も残っていません。当時の大理石でできた食卓は、市立博物館で見ることができます。
ここは、人気の写真撮影スポットです。鐘楼と大聖堂の写真が良い角度で撮れます。
【スプリットディオクレティアヌス宮殿】東の門(銀の門)
皇帝の食堂だった場所から、そのまま大聖堂方面へ行き、大聖堂手前で右へ道なりに一本道を進むとどんぴしゃで、銀の門と呼ばれる東門前に出ます。
このデクマノス通りは、ディオクレティアヌス帝の時代は10メートルの幅のあるメイン通りでした。
銀の門周辺には多くの出店が出ています。銀の門から宮殿エリアを出ると、青空市場へ行けます。
スプリット市民に愛されている青空市場
青空市場は、今でもスプリット市民にとってなくてはならない存在です。食料品はスーパーでも買えますが、新鮮でおいしい食材が買えると、市民の間で根強い人気を誇っています。
野菜類は14時までですが、ナッツ類や果物、お土産は終日売っています。
生ハムやご当地お惣菜パン、ソパルニクなどの食べ歩きもでき、旅行者にも人気です。
スプリット観光のコツ
クロアチアの中心に位置するスプリットは、旅行者に親切なつくりになっています。
まず観光見どころと交通の要所が隣接、徒歩10分で旧市街にたどりつきます。交通の拠点に荷物置き場やお手洗い、お店、カフェ、ATMなどがたくさんあり、移動の間に身軽にささっと観光できます。
また、観光シーズンはスプリットを起点とした日帰りツアーも豊富です。世界遺産の街トロギールやシベニク観光はもちろん、人気の青の洞窟やフヴァル島など島めぐり
クロアチアの必見見どころプリトヴィツェ湖群国立公園も日帰りで楽しめます。クルカ国立公園、隣国モスタルへも行けます。
ドブロヴニクに比べ、物価も安いので、スプリットに拠点を置き、周辺観光を楽しむスタイルも増えてきています。
スプリット観光おすすめの時期
リゾートだけでなく、市民が普通に暮らしている街スプリットは、年中活気にあふれています。
なかでも一番おすすめの時期は、5-6月と9月10月です。気候的にもすごしやすく、ゴールデンウィークやシルバーウィークも、クロアチア旅行には最適です。混雑する夏の観光トップシーズンを避けることができます。
ただし、賑やかな雰囲気をもとめるなら、7,8月がおすすめです!この時期は、海と太陽をもとめてヨーロッパ中から夏のリゾートに人が訪れ、華やかな雰囲気です。ただし、価格は高騰、日差しも強く暑いので、ご注意ください。
真夏に町を観光する際は、午前と夕方以降に観光するのがお勧めです。12時から4時頃までは暑いので、建物の中の見学やホテルやカフェで食事や休憩がよいでしょう。夜は9時頃まで明るく、治安もよいので、夜に出歩いても大丈夫です。
スプリット観光には要注意の3日間があります!それは、音楽イベント、ウルトラが開催される3日間。ヨーロッパを代表するエレクトロニック音楽の巨大イベント、ウルトラには、20代と30代を中心に、約140か国から16万人がスプリットを訪れます。
7月第2の週末前後に開催されるウルトラ期間中には、宿泊料金も高騰するため、イベント参加者以外はスプリット滞在は避けたほうがよいでしょう。
ウルトラの期間はクロアチア旅ソムリエのホームページなどで情報をお知らせします。
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